汝、星のごとく 凪良ゆう
2023-09-21

今日的なようでもありメロドラマのようでもある。
あり得ないほど悟りきった登場人物も出てくる。
この小説のキモは、以下の本文の引用に尽きると思う。
「・・・自分で自分を養える、それは人が生きていく上での
最低限の武器です。結婚や出産という環境の変化に伴って
一時的にしまってもいい。でもいつでも取り出せるよう、
メンテはしておくべきでしょうね。いざとなれば闘える。
どこにでも飛び立てる。独身だろうが結婚していようが、
その準備があるかないかで人生がちがってきます。」
「・・・パートナーがいてもいなくても、子供がいてもいなくても、
自分の足で立てること。それは自分を守るためでもあり
自分の弱さを誰かに肩代わりさせないということでもある。
人は群れで生きる動物だけれど、助け合いと依存はちがうから。」
ここに登場する、自分の子供を利用し、依存し、
しがみついていなければ生きていけない母親は、
上の主張と真逆の人間であり、
そうならないためにどうすればいいかを、
作者は訴えかけてくる。
もたれ合うのではなく、まずは自立した人間にならなければ
幸せに生きていくことはできない、これが一貫したテーマである
と思う。
(9:11)

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