日本人の真価 藤原正彦
2022-08-21

藤原氏が週刊新潮連載のエッセイ「管見妄語」の連載をやめて
至極残念に思っていましたが、半年後にはもう「文芸春秋」に
巻頭エッセイの連載を依頼されていました。当然でしょう。
人生経験、知識教養、文才、すべてを備えているからです。
ご本人の言う「フェロモン」とか「モテモテ」とかいうおちゃらけが
ちょっと鼻につくくらいで。
とりあげたい箇所はたくさんありますが、二つだけに絞ると、
まずは「民主主義という幻想」です。
アメリカが世界の民主主義を主導できるほど模範的な国か?という疑問。
移民差別、貧富の格差、銃社会等々。
自由、平等というけれど、人間は本来自由でも平等でもありません。
生まれ落ちた時から、道徳や倫理、法律といったものに縛られている。
また、人間はほぼすべての面で不平等であります。
なので、自由や平等は西洋の作ったフィクション。
民主主義の致命的欠陥は、「国民主権」が
「国民が成熟した判断を下せる」という永遠に満たされない前提
の上に成り立っていることです。
民主主義とはほとんど常に
愚衆政治でありポピュリズムなのです。
深くうなずけます。
(選挙に宗教団体が介入したり、悪意を持った権威主義的外国が
民主主義の脆弱な部分を突き、SNSで大がかりな世論誘導をする
といった事実もある。トランプ氏支持への誘導にロシア情報機関が
かかわったのは事実であり、21年の自民党総裁選ではSNSで
党内対立をあおる投稿は中国から組織的にされていたと
公安調査庁のある幹部は語っている。日経新聞より。)←私的注です。
アメリカで、そして世界で決してなくならない人種差別。
日本がこれに立ち向かい、敗れた歴史が語られないということについて。
第一次大戦後のパリ講和会議で発足した国際連盟の会議で
日本が人種差別撤廃を提案しました。アメリカとイギリスの猛反対にも
かかわらず、採決では賛成11,反対5となりました。
可決かと思いきや、議長のウッドロー・ウィルソン米大統領が、
「全会一致が必要」と突然言い出し日本案を退けたのです。
それまで、明治維新以来さんざん人種的差別を受けてきた日本が
毅然として提案した法案でしたが、
差別主義者ウィルソンによって葬られました。
白人から見れば、「黄色人種が何を言うか」ということだったのでしょう。
人種差別撤廃を百年も前に提案するという快事が、
教科書でもメディアでも語られないのは、
敗戦後、GHQの日本統治の7年間
戦前の日本の歴史、文化、伝統をすべて否定し
厳しい言論統制をし、それがなぜか未だに残っているから、
だそうです。(自虐史観)
もったいない話です。
「日韓断絶」にも非常に興味深い解説がされていますが、
長くなるので、また次回に。
(10:07)

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