「生かさず、殺さず」 久坂部 羊



活かさず 2020年6月30日発行 朝日新聞出版


作者が久坂部羊でこのタイトル。
言わずと知れた、医療現場の実態である。

ちょっと推理小説っぽく、主人公の医師の経歴を描いている。

テーマは大きく分けて二つ。

一つは、認知症患者が病気(癌、糖尿病、肺炎、その他)になった時の
治療の困難さ。
認知症患者の身体の病気を治療する時、患者本人に説明をしても
当然理解できないし、検査や治療にも困難を伴う。

また、家族間で意見が分かれ、患者の治療方針が決まらない。

二つ目は、医師の良心の問題。

医師も人間であるから、当然ミスもする。それで患者が亡くなった場合、
そのことを引きずって悩む医師と、
誤魔化して平然としている医師、色々であること。

「どんなことをしても生きていて欲しい」と家族が願う結果、
延命のための装置にグルグル巻きにされて腐った西瓜のようになる
患者。果たしてこれは、患者自身の為になることなのか?

医者は目の前の病気を治療することが仕事で、患者自身の人生観
などは眼中にないわけだから、患者自身がしっかりと「自分の人生は
自分のもの。どう死にたいか」を考えておかなければならない。

手は出さずに口は出す家族や親せきにも要注意。

また医療の側も、一秒でも生きている時間を延ばすのではなく、
いかに人間としての尊厳ある死を迎えられるかも考えて欲しい。

いずれにしても、誰にとっても他人事では済まない問題を提起した
小説である。



(16:16)

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「らんたん」 柚木麻子




ranntann2021年11月発行 株式会社小学館


497ページになんなんとする大作です。
やっと読み終わって、何だか大河ドラマを見終わったような気分です。

明治、大正、昭和。特に大正から昭和にかけて、女子教育に人生を捧げた
河合道(恵泉女学園創立者)の伝記的小説ですが、
「史実に基づくフィクション」と著者が言うように
資料を基に、著者が想像をたくましくして書いた部分もあるでしょう。

実在の人物が実名でゴロゴロ出て来るのが痛快極まりないです。
徳富蘆花、有島武郎、太宰治など、不幸な女性を主人公にして人気を博し、
また自分の不幸に女性をからませる、当時の人気作家への痛烈な批判、
皮肉は思わず笑ってしまうほど。

有能な先達がいて初めて、日本の女性解放、女子教育は進んできたのですね。

その恩恵を充分に受けたはずの我々団塊の世代の女性たち。
そして今の日本。

この小説の主人公、河合道が今の日本を見たら、何と言うのでしょうか・・・。

(9:45)

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野良犬の値段 百田尚樹



百田2020年12月発行 幻冬舎


かつて放送作家であり、テレビ局やマスコミをよく知っている百田氏が

書き下ろしただけあって、面白くて読みごたえがありました。


特に、現代のネット社会、ツイッターを利用する人々の心理、

パソコンを使った犯罪、テレビ局がワイドショーでやる印象操作、

新聞が書き立てマスコミが煽り、一人の人間の人生を滅茶苦茶にしておいて、

後始末はしない、

それによってホームレスにまで落ちていく人がいる。

そういった諸々のピースを一つ一つはめ込んで一つの絵にしてみせた、

と言う感じのミステリー小説です。

文章は平易で、深刻ぶらず、時にユーモラスで、読みやすい。

小説家とは、「今から面白い話をするから、金をくれ、という商売だ」という

百田氏は全く正しい。まさにそれを地で行く小説です。


あと、活字が大きいのもシニアには嬉しかったです。

゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。


ピアノ演奏を右側から撮ってみたら、生活空間が写ってしまうのがちょっと・・・。

曲は、「マホガニーのテーマ」
コーヒーのコマーシャルに使われましたが、元はダイアナ・ロスの歌です。



(9:47)

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二人に一人はがんになる時代



有名人の、がんカミングアウトは、今時珍しくありません。

先日借りて来た本は、

m 2021年10月発行 幻冬舎

三谷幸喜氏が「真田丸」の脚本執筆中に前立腺がんが見つかり、

秘密裡に手術をした時主治医だった先生と

治療後に対談した本です。

シリアスにならずに、時に笑いを交えながら、

前立腺がんの知識と治療を丁寧に解説してくれています。

(女性は関係ないけど)このがんに不安をお持ちの方は

是非読むことをおすすめします。


もう一冊は

東海林 2017年 文藝春秋

漫画家の東海林さだお氏が、肝細胞癌で入院手術した際のもろもろを

漫画を交えて綴った本です。

点滴スタンドをガラガラ引きずって歩くのは私も経験済みですが、

今はイルリガートルという、酸素ボンベだの尿袋だの点滴だのを

一式乗せたスタンドを引きずって歩くらしい。へえ~・・。

そのほかに「丸かじりシリーズ」のようなエッセイも入っています。


今は色んな人が色んな角度から、がん入院治療体験記を書いています。

私の体験も一応日記として残してありますが、14年も前のことでは

参考にはなりませんわね。医学はどんどん進歩していますから。


        

今日のクリスマスソングは、「ああベツレヘムよ」です。




(9:41)

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「孫と私の小さな歴史」 佐藤愛子




さとう 2016年1月発行 文芸春秋

佐藤愛子氏がお孫さんとの日々を語る?

へぇ~、佐藤女史にしては珍しくほのぼの系?

・・と思って借りてきたら、何とこれ、年賀状の写真集なんです。

お孫さんの桃子さんが1歳、愛子女史が69歳の時から

20年にわたって作り続けた写真の年賀状。

トトロだったりパンダだったりカリブの海賊の扮装だったり

どじょうすくいやら、メイドカフェやら、お葬式まであります。

こんなふざけた(失礼)写真デカデカの年賀状、普通は送れませんよ。

まあ、受け取る方も有名作家だの個性豊かな友人知人ばかりだから

おおいにウケたらしいです。

文章を書くより余程面倒な過程を、楽しんで作っている様子が伝わってきます。

やはり、尋常ではないエネルギーをお持ちの方だと思います。


年賀状、そろそろ添え書きを始めてもいい頃ですね。



゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。  

「アイ ウィッシュ ユー ア メリークリスマス」を弾いてみました。



(9:45)


゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。

12:31地震あり。このところ日本各地で地震がありますね~。大丈夫か。

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プロフィール

MK(女性)

Author:MK(女性)
終活で戸建てからマンションへ
2020年に転居しました。
シンプルかつコンパクトに暮らす
丑年、水瓶座。趣味はピアノと
ドール。神奈川県生まれ。
長野県在住。

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